小澤忠恭・湘南左右録 其の五



鎌倉で倍音浴

音楽:牧野持侑


上の映像はYouTubeへのリンクです。画質を720p HD にしてご覧下さい。

 大磯には、以前から磯田秀人さん(ググる)が住んでいる。この人は僕が写真家デビューして間もない頃、若い女優の写真集を作るのに何の実績もない僕を抜擢してくれて、後に僕がアイドル写真や女優写真集を撮り続けるきっかけを与えてくれた人だ。磯田さんはまだあまり知られていない人物や有益な情報を、人々に伝える能力に長けた人で、いまも Facebookやブログで実に多岐にわたる情報を発信している。知る人ぞ知る音楽プロデューサーだが当時は出版にも関わっていて山下洋輔さんの本や野田昌宏さんの本も出している。そんな人のお眼鏡にかなった事は、いま思えば光栄な事だった。今まで面と向かってお礼を言ったことはないが、大変感謝している。

 その磯田さんが、ある日大磯駅そばの喫茶店で二人でお茶をしているときに、「倍音を知っているか」と切り出した。「不勉強で全然知らない」と言うと、「じゃあ一回浴びに行こう。これは音楽のようなものだけど聞くんじゃなくて浴びるんだ。」と実に興味をひく勧め方をする。それで、鎌倉の光明寺に牧野持侑さん(ググる)の演奏を聴きに、じゃなかった、浴びに行った。これはその時の心象ムービー。牧野さんがガラスか陶器のようなもので出来たクリスタルボウルなるものををいくつも並べ、それをたたいたりこすったりすると非常に澄んだシンブルだが複雑な(変だな)音がする。なんでも一つのボウルから同時に二つの音が出るのだそうだ。周波数で倍の音が同時に出るので、それで倍音と言うのだと後で聞いた。音源を分けてもらって、例によってコマ落ちした映像と会わせてみると、浮遊感のあるちょっと非日常の鎌倉小旅行の雰囲気がよくでた映像になった。

 鎌倉で乗ったバスの運転手が、偶然昔からの友人の名頃君だった。名頃君が鎌倉のバス会社に勤めたことは前から知っていたが、多くの路線の中でちょうどその人の運転するバスに乗りあわせるとは、これまた不思議な体験だった。

 カメラは OLYMPUS PEN E-P1 レンズは ELMARIT-M 28mm

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